2−4.腹式呼吸法
腹式(デルデル)呼吸法について
この呼吸法には、患者にとって、以下のような有利な点があると思います。
1.痛いときや疲れたときなど、いつでもどこでもできる。
2.薬剤を使わないために、化学物質過敏症を併発している患者さんもできる。
3.一度覚えると習慣化できるので、ほかの治療でよくあるように、治療を止めると再発することなく、痛みを継続的に楽にできる可能性がある。
4.治療費を抑えることができる。
当HPに治療法を載せる基準としては、まず医師側の情報ではなく、患者さん側の「確かに効果があった」といった証言があるということを重視しています。
この呼吸法によって確かに効果があったという患者さんの証言と、その内容をHPに転載する許可をいただきましたので、この呼吸法を、記事として載せます。
この線維筋痛症の患者さんは、精神科医の方です。
(文意がわかりやすくなるように、原文を若干直しています)
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この呼吸法で症状が軽くなった患者さんの話
FMS患者の精神科医Sです。
デルデル呼吸(荒木医師の提唱する呼吸法)を何度も実践しました。
その結果、全身のこわばり(特に夜に強くなります)が、ほとんど無くなりました。
痛みも、トータルでは減ってきているような印象です。他にも鍼灸院に通っており、その他、トリーガーポイント治療のカイロプラクティック(整体治療)にも通っています。
その効果もあるのだと思いますが、明らかに、呼吸法を始めてから楽になっていることを実感しています。
この呼吸法は、うつにもいいようです。
私の他にも、現在入院中の重症の寝たきりの線維筋痛症の患者さんにやってもらったところ、見違えるように元気になっています。(具体的には、歩けるようになり、ボタン付きのシャツなら、着替えも自分一人で出来るようになりました)。
また、外来で、交通事故の被害者の方で、PTSDで体が硬直してしまい、FMSのようになった方がやはり劇的な改善を示しています。
また、私の母親が、10年以上にわたり、大腸憩室(数十箇所から数百あるようです)のために、アロエの粉を飲み、ようやく細い下痢状の排便をしていたのですが、アロエを飲まなくても、呼吸法を始めたら、毎朝、きちんと排便ができるようになりました。このために旅行にいけると喜んでいます。
呼吸法を数日間、試してみて、もし効果が出なくても、しつこくやり続けることが大事だと思います。寝たきりの患者さんは、何度か挫折しそうになりましたが、絶対よくなるからと励まして、呼吸法だけは頑張らせました。それに、気持ちの良さを味わえれば、頑張らなくても、自然に呼吸をするようになると思います。
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管理人自身の体験
この呼吸法については、上手下手があり、上手にできる人とできない人では、効果に差があるようです。
たとえば私は、最悪時、普通に呼吸をするだけで、背中や脇腹、あばら骨に激痛が走る状態でした。
私の場合は激しい痛みをこらえるために、無意識に浅く呼吸をする癖がついてしまっているようで、なかなか上達しませんでした。
健康な人には信じられないかも知れませんが、悪化してくると、本当に呼吸するだけで背中や脇腹が激しく痛み、呼吸するのでさえ、辛いです。そういう状態の人に、この呼吸法はなかなか難しいかもしれませんが、覚えて、決して損はないと思います。
私自身は、かなり痛みが残っている時点でこの呼吸法を試してみて、当時の2割くらいは痛みが減った感じがありました。
もしうまくいかなくても、上記の精神科医の患者さんのように、繰り返し行うことによって、だんだん効果が出てくるかもしれません。
呼吸法のやり方(管理人がデモ治療で習った内容)
まず、平らでリラックスできる場所に、仰向けに寝ます。枕は、自分で心地いい高さにします。次に、膝をゆったりと立てます。体重を、すべて寝ている床に預けるような感じにします。息は控えめに、ゆっくりと軽く吸ったり吐いたりします。
手を重ねて、へそより少し下の位置に重ねて置きます。(イラスト1参照)そして、手を重ねた位置に、意識を持ってきます。すると、息を吸うと、手を重ねた位置が少し膨らみ、吐くと、少しへこむ感じが分かります。そういうふうに、お腹が膨らんだり、へこんだりする感じを、じっくりと味わいます。
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(イラスト1)
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胸で息をするのではなく、お腹でゆっくりと息ができていることを確認します。次に、脇腹のところに手を持ってきます。すると、脇腹も、息を吸うと、ふくらみ、吐くと元に戻ります。その感じを確かめます。そのまましばらく、吸って、吐いてという呼吸を繰り返します。(イラスト2参照)
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(イラスト2)
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その次に、ウエストの後ろに指を当てて、ふーっと軽く息を吐きます。そして、脇腹とウエストの後ろがかるくしぼむことを確かめます。さらに力を抜くような感じで、ふーっと息を吐きます。吐き終わったら、脇腹とウエストの後ろが膨らむのを感じながら、自然に息を吸います。
息を吸うより、吐くほうを、より意識します。深く吐くことを意識し、力を使わずに、力を抜いて息を吐きます。(イラスト3参照)
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(イラスト3)
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医師によれば、これを行っていくことで、全身の血流がよりスムーズに流れ始めるということです。また、腸のなかが動き出すのが自分で分かります。呼吸法を繰り返し行うことで、便通がよくなる可能性が、実感できます。
この呼吸法について、さらに詳しく知りたい方は、下記の荒木先生の著書をご参照ください。
「やせる!デルデル呼吸ダイエット」
http://www.makino-g.jp/bookdetail/isbn/978-4-8376-7078-0/
「おなかすっきり心すっきり腹横筋を使ったお通じ改善法」
http://www.niheisha.co.jp/isbn4-86108-023-1.htm
*荒木隆次医師の略歴
1975年 九州大学医学部卒業。同精神医学教室、産業医科大学を経て、医療法人松尾病院副院長。現在は「あらき心療クリニック」院長。
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