痛み以外の症状



 1.めまい、疲労感、発熱、筋力の低下などの症状
 2.論拠となる論文

1.めまい、疲労感、発熱、筋力の低下などの症状

症状が重かった私は、激しい痛みのほかに、遊園地のフライングマシンに常時振り回されているような、すごい眩暈、強い疲労感、体中に砂袋をつけたような重量感、筋力の低下、睡眠障害、微熱などの症状にも悩まされました。

私を治療した医師は、脳中枢部での痛みを発現する神経系と、それ以外の目眩い、疲労感などの症状の発現に関係する神経系は異なっているという仮説を立てて、この仮説に基づいた治療も行っています。この仮説は重要だと思うので、これについても、下記に付け加えたいと思います。

研究者の間で、線維筋痛症と非常に近しい関係にあるといわれている難治性疾患に、慢性疲労性症候群があります。発症によって、激しい目眩いや強い疲労感、重量感、発熱といった症状が出て、線維筋痛症と同じように確立された治療法がないといわれてます。医師は、これらの症状の発現は、後部視床下部にある結節乳頭核に所在する、ヒスタミン駆動性ニューロン系の不調によるものとの仮説を立てています。(下記イラストE参照)

BOOT咬合療法という線維筋痛症の治療は、外側翼突筋から三叉神経中脳路核(Me5)への信号入力をブロックすることで、痛みの量を減らしてゆく治療法です。
そして、このヒスタミン駆動性ニューロン系へも、三叉神経中脳路核(Me5)からの神経投射が行われており、BOOT咬合療法によって外側翼突筋から三叉神経中脳路核(Me5)への信号入力をブロックすることで、ヒスタミン駆動性ニューロン系への神経投射も減る。その結果として、激しい目眩い、疲労感や重量感も減っていくという仮説を立てています。

この、激しい目眩いや強い疲労感、重量感、発熱といった症状の原因は、ヒスタミン駆動性ニューロン系の不調にあるという着眼点は、これまで研究者の間でもまったく言及されてこなかったものであり、患者の立場からは注目に値すると私は思います。
私も、上記のように、激しい目眩いや疲労感、重量感、発熱、筋力の低下、睡眠障害に苦しみましたが、それまで、どんな治療法を試しても、どんな薬剤を投与されても改善されなかったこれらの症状が、BOOT咬合療法によって非常によくなりました。痛みが劇的に減るのと軌道を同じくして、これらの症状も改善しました。

(イラストE:人体の大脳)

2.論拠となる論文

上記のように、線維筋痛症の症状の一つとして発現する、激しい目眩いや強い疲労感、重量感、発熱などの原因は、ヒスタミン駆動性ニューロン系の不調にあるという着眼点は、これまで線維筋痛症研究者の間でも、まったく言及されてこなかったものです。

またこの仮説は、線維筋痛症に関する研究としては、トップページで紹介している「線維筋痛症とそのほかの中枢性疼痛症候群」(Fibromyalgia & Other Central Pain Syndromes)にも出てこない、新しい着眼です。この仮説の根拠となる論文を、下記に提示します。

*大分医科大学医学部第一内科、吉松博信,坂田利家 著
“エネルギー代謝調節における神経ヒスタミン機能”
掲載誌: 「肥満研究」2001年 Vol. 7 No. 2
(ヒスタミン神経系と睡眠調節機能の関係、エネルギー代謝調節の関係などについての論文)


*谷内一彦 (東北大学大学院医学系研究科、細胞・病態薬理学分野教授)
倉増敦朗(東北大学大学院医学系研究科、細胞薬理学分野、助手、医学博士)
櫻田忍(東北薬科大学薬学部 機能形態、教授、薬学博士)

”ノックアウトマウス研究から明らかにされる痛み受容におけるヒスタミン受容体の役割”
掲載誌: 日薬理誌(Pharmacol. Jpn.) 2003年 122,391〜399
(ヒスタミンと痛みや痒みの感覚などについて記載された論文です)

*Temple University School of Pharmacy Philadelphia,PA,U.S.A,
R. B. Raffa著
“Antihistamines as analgesics”
掲載誌: Journal of Clinical Pharmacy andTherapeutics 2001年 26, 81-85
(鎮痛剤としての抗ヒスタミン薬についての論文)

なお、この説を提唱している山田医師のHPには、上記以外の論拠も提示されています。そちらでは専門的かつ丁寧な解説がされているので、内容を詳しく知りたい方は、そちらをご覧下さい。

http://www.yamadasika.jp/
(山田歯科医院HP)

ちなみに上記の論文のうち、”ノックアウトマウス研究から明らかにされる痛み受容におけるヒスタミン受容体の役割” は、さまざまに多彩な症状が出た患者から見ても、それらの諸症状との関連を感じます。
患者さんの参考になるかも知れないと思い、下記に一部を引用します。

”ノックアウトマウス研究から明らかにされる痛み受容におけるヒスタミン受容体の役割”

*「要約」より
ヒスタミンは痒みとの関係が強調されているが、痛みにも関与していることが古くから知られている。
・・・・・
ヒスタミン神経は視床下部後部の結節乳頭核にあり、神経伝達物質として、睡眠、覚醒、自発運動量、食欲の抑制、情動、体温調節、神経内分泌などに関係している。

*「1.ヒスタミンと痛みや痒みの感覚」より
ヒスタミンが覚醒レベルの維持にきわめて重要な機能を持っていることから、痛みや痒みの中枢レベルにおける認知に関係していると考えられる。

トップページ
サイトマップ
管理人紹介
リンク集
メール