2.論拠となる論文
上記のように、線維筋痛症の症状の一つとして発現する、激しい目眩いや強い疲労感、重量感、発熱などの原因は、ヒスタミン駆動性ニューロン系の不調にあるという着眼点は、これまで線維筋痛症研究者の間でも、まったく言及されてこなかったものです。
またこの仮説は、線維筋痛症に関する研究としては、トップページで紹介している「線維筋痛症とそのほかの中枢性疼痛症候群」(Fibromyalgia & Other Central Pain Syndromes)にも出てこない、新しい着眼です。この仮説の根拠となる論文を、下記に提示します。
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*大分医科大学医学部第一内科、吉松博信,坂田利家 著
“エネルギー代謝調節における神経ヒスタミン機能”
掲載誌: 「肥満研究」2001年 Vol. 7 No. 2
(ヒスタミン神経系と睡眠調節機能の関係、エネルギー代謝調節の関係などについての論文)
*谷内一彦 (東北大学大学院医学系研究科、細胞・病態薬理学分野教授)
倉増敦朗(東北大学大学院医学系研究科、細胞薬理学分野、助手、医学博士)
櫻田忍(東北薬科大学薬学部 機能形態、教授、薬学博士)
著
”ノックアウトマウス研究から明らかにされる痛み受容におけるヒスタミン受容体の役割”
掲載誌: 日薬理誌(Pharmacol. Jpn.) 2003年 122,391〜399
(ヒスタミンと痛みや痒みの感覚などについて記載された論文です)
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*Temple University School of Pharmacy Philadelphia,PA,U.S.A,
R. B. Raffa著
“Antihistamines as analgesics”
掲載誌: Journal of Clinical Pharmacy andTherapeutics 2001年 26, 81-85
(鎮痛剤としての抗ヒスタミン薬についての論文)
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なお、この説を提唱している山田医師のHPには、上記以外の論拠も提示されています。そちらでは専門的かつ丁寧な解説がされているので、内容を詳しく知りたい方は、そちらをご覧下さい。
http://www.yamadasika.jp/
(山田歯科医院HP)
ちなみに上記の論文のうち、”ノックアウトマウス研究から明らかにされる痛み受容におけるヒスタミン受容体の役割” は、さまざまに多彩な症状が出た患者から見ても、それらの諸症状との関連を感じます。
患者さんの参考になるかも知れないと思い、下記に一部を引用します。
”ノックアウトマウス研究から明らかにされる痛み受容におけるヒスタミン受容体の役割”
*「要約」より
ヒスタミンは痒みとの関係が強調されているが、痛みにも関与していることが古くから知られている。
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ヒスタミン神経は視床下部後部の結節乳頭核にあり、神経伝達物質として、睡眠、覚醒、自発運動量、食欲の抑制、情動、体温調節、神経内分泌などに関係している。
*「1.ヒスタミンと痛みや痒みの感覚」より
ヒスタミンが覚醒レベルの維持にきわめて重要な機能を持っていることから、痛みや痒みの中枢レベルにおける認知に関係していると考えられる。
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