データで見る回復効果



 1.データで見る回復効果
 2.医師による談話
 3.参考文献

1.データで見る回復効果

大脳指向型(BOOT)咬合療法による効果を示すデータを下記に載せます。これは、治療を行っている医師が、2004年のリウマチ学会で発表したものです。


説明

下記の図は、この医師が、第49回リウマチ学会で、腰痛や肩こりなどの「筋筋膜痛症候群」と、「線維筋痛症」に対する咬合治療の効果について発表し、咬合治療前後の痛みの変化を「VAS」で比較した図です。(論文による詳しい説明は、図の下に付記しました。)

下記図が「筋筋膜痛症候群」への効果です。いわゆる腰痛、肩こり、五十肩などに対する治療結果で、その下の図が、「線維筋痛症」への治療結果です。


*グラフの見方
縦軸が、痛みの大きさを示しています。10が最大に痛い状態、0が痛みがない状態です。
左から順番に、顎、首、肩、腰、上肢(肩から腕)、下肢の痛みを表しています。
青色棒が、治療を始める前の痛みの大きさ、赤色棒が、治療後の痛みの大きさです。
Nは、サンプル(患者さん)の数です。
青色から赤色へ、それぞれの箇所の痛みが減ったことを表しています。
青色も赤色も、全患者さんの平均値を示しています。

「筋筋膜痛症候群」の回復データ

下の図が「線維筋痛症」の結果です。

*グラフの見方
上の図と同じように、青色が、治療を始める前の痛みの大きさ、赤色が、治療後の痛みの大きさです。
「線維筋痛症」の回復データ

2.医師による談話

二つの図を見ると、どちらも、私の行った治療が相当効いているように見えます。ところが、私が治療を手がけた患者さんは、「もっと効いていると思います」と不満そうなようすでした。
実は、別の質問、「一番治療効果のあった場所の痛みはどれほど変わりましたか?]という問いの場合、約90%の患者さんが「痛みは十分の一以下に減った、もしくは無くなった」と回答しています。

リウマチ学会には、そちらの回答結果を出してもよかったのですが、そこまで効果が高いと、この疾患が一般には難治性といわれていることもあり、信憑性がない気がして、どちらかというと、遠慮がちなデータを出しました。

そういうふうに、発表するデータにも気を使ったのですが、たまたま会場にいらした線維筋痛症の患者さんの協力が得られたおかげで、その場で、リウマチ学会の繊維筋痛症研究者の皆さんにも咬合治療の効果を見ていただく事ができました。会場の先生方には「線維筋痛症と口腔には何らかの関係がある」と分かっていただけたと思います。


3.参考文献

(医師が日本リウマチ学会で発表した論文)

Effect of Occlusal Therapy on Patients with Myofascial Pain Syndrome and Fibromyalgia
著者Yamada T, Yamamoto YModern Rheumatology誌 2005年 15号 サプリメント p 266


咀嚼筋の筋筋膜痛症候群である顎関節症では、その10%が広い範囲に痛みが広がった重症型に移行する。顎関節症と線維筋痛症には筋痛、疲労、過敏性大腸炎、睡眠障害などの多くの共通した症状が見られる。我々は筋筋膜痛症候群一般と線維筋痛症に対する咬合治療の効果を検定した。

73人の筋筋膜痛症候群の患者(男性l6人、女性67人)に咬合治療を行った。効果の判定はテンポイントビジュアルアナログスケール(VAS)で行った。VASは顎、首、肩、腰、足、腕の左右それぞれについて独立して記録した。
はじめの3年間はシモンズのトリガーポイントの診査によっったために、線維筋痛症患者の比率は不明である。次の10ヶ月間はアメリカリウマチ学会線維筋痛症診断基準を用いて診査を行った。その結果22名中6名(27%)が線維筋痛症と診断された。

両期間においては、平均の疼痛のある部位の数はほぼ同じなので、73名中19人が線維筋痛症であると推測された。本研究で用いられた咬合治療の方法は、下顎を頚部の筋のトリガーポイントにより決定されたある特定の位置に誘導する装置を用いる点で、従来のものと異なっている。

患者全体では疼痛のある部位の数は500、一人平均6.85箇所、平均の治療前のVASスコアーは6.13±2.34、治療後は1.97±2.12で68%の減少であった。線維筋痛症群では疼痛のある部位の数は42、一人平均7.0。VASは6.04±1.79から1.60±2.24、74%の減少であった。

検討:咬合治療は線維筋痛症と筋・筋膜痛症候群の痛みに有効であった。この結果が示唆するところは、線維筋痛症の原因と考えられている中枢神経の感作を、口腔の固有感覚受容器からの求心性信号が引き起こしている可能性があると言う事である。

動物実験によると、咀嚼運動は三叉神経中脳路核の神経活動を増加させて、後部視床下部にあるヒスタミンニューロン系を活性化して神経ヒスタミンの遊離を引き起こす。ヒスタミンニューロン系は睡眠覚醒の中枢であり、また、中枢での痛みの受容をつかさどっている。実際、中枢でのヒスタミンH1レセプターをブロックすると、ラットにおける実験的疼痛は緩和される。

結論として、口腔の固有感覚受容器は線維筋痛症と筋・筋膜痛症候群の原発部位の可能性があり、症状の進展には視床下部のヒスタミンニューロン系の関与が疑われる。


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